スーパーや魚屋さんに買い物に行くと、色々な魚の干物が売られています。
種類も豊富で、アジやイワシを丸干しにしたものから、一夜干し・ミリン干しといったものから、タイやアマダイなどの高級魚を干物したものも有ります。
私は、釣って来た魚などで、干物を自分でよく作りますが、実際に作って見ると思ったよりも簡単です。
何よりも、自分の好みの塩加減や干し加減にすることが出来るのが、大きな魅力です。
わずかな手間と時間をかければ、自分の好みの干物を作ることが出来るので、魚が多く釣れた時や魚屋さん出鮮度の良い季節の魚を見つけたら、是非1度干物造りに挑戦してみてください。
①新鮮な魚
干物を作る過程で、干す時間などの時間が掛かるので、魚の鮮度は良くなくてはいけません。
私は、アジやカマスや小ダイなどの魚が多く釣れた時に干物を作ることが多いですが、スーパーや魚屋さんで魚を買ってきて作ることも有るので、別に、釣りたての魚でなくても大丈夫です。
②季節と天候
干物を干している間に、魚が腐敗するといけないので、気温の低い時期に作る必要が有ります。
おおよその目安ですが、外気温が18度以上にならない晩秋から早春の時期に作るようにしています。
また、天気も重要で、雨が降ったりすると湿度が高く、中々、魚から水分が抜けないので、魚が干し上がる前に腐敗してしまうことも有るので、出来るだけ雨や雨の後は避けた方がいいです。
風干しという言葉があるくらい風も大事で、無風よりも風が吹いていたほうが魚の感想は早くなります。
以上の、気温と湿度と風によって魚を干す時間が変わって来ます。
③塩と塩加減
塩は科学的に精製された塩と海水から作った自然塩とが有ります。
科学的に精製された精製塩は塩化ナトリウムの純度が99パーセント以上なのに対して、海水から作った自然塩には、マグネシウムやカリウムなどのミネラル分を多く含んでいて、出来上がった干物の味がまろやかになります。
使用する塩の分量は好みでいいですが、目安として
保存期間で調整する場合
すぐに食べる場合や乾燥時間が短い場合は薄めでいいですが、日持ちさせる場合や乾燥時間が長くなりそうな場合は濃いめにします。
魚の鮮度で調整する場合
魚の鮮度がいいほど塩をよく身に吸い込むので、塩の分量は控えめにして、時間も短くします。
逆に、余り鮮度が良くない場合には、塩の分量を多めにして、時間も長くする必要が有ります。
魚の脂の乗り具合で調整する場合
青魚などのように、魚の脂の乗りがいい場合には、塩が身に吸い込みにくくなるので、多めの分量にして時間も長めにします。
逆に、白味魚など、余り、魚に脂が乗っていない場合には、塩の分量をす少なめにして時間も短くします。
魚の大きさ・身の厚さなどで調整する場合
キスの背開きやイワシの開きなど身が薄い場合はすぐに塩分が身に浸透するので、塩分は控えめにし、時間も短めにします。
逆に、丸干しにする場合や厚い身の魚は、中まで塩分が浸透するのに時間が掛かるので、塩分は多めに使用し、時間も長めにします。
以上の点を考慮して、好みの塩加減を見つけてください。
実際に、魚に潮を当てていく方法は、魚に直接、塩を振りかける「振塩法」と濃いめの塩水の中に魚を漬け込む「立塩法」の2つの方法が有ります。
振塩法
振塩法は、直接魚に塩を振り、脱水作用で魚の肉を固めて生臭さと水分を身から出す方法です。
魚の表面全体に、まんべん塩を手で振りかけて、10~15分もすると、塩が魚の身に吸収される時に、身の中の水分が浮き出て来ます。
好みや、魚の種類や状態に応じて、15~30分程度経過後、魚の表面の塩と浮き出た水分を水で洗い流します。
脂の乗った魚やアジやイワシなどの青魚に適した方法です。
立塩法
立塩法は、濃い食塩水(水6に対して塩1が標準)の中に魚を漬け込む方法です。
振塩法と違い塩分が平均して浸透し、直接空気にふれないので身が酸化せず、油焼けを起こしにくい長所も有りますが、食塩が大量に必要となる欠点も有ります。
好みや、魚の状態に応じて、30分前後食塩水に漬けます。
白身系の魚やイカの一夜干しなどに適した方法です。
立塩法で塩加減をした魚を、日本酒の中に、15分~30分程度漬けてから干す方法で、日本酒に漬けることにより、さなかの臭みが取り除かれて、独特の風味が付きます。
手間がかかる方法なので、振塩法の食塩水に日本酒を加えるやり方も有ります。
醤油にミリンと日本酒を合せた漬けタレに漬け込んでから干すやり方です。
ミリン:1
醤油 :1
日本酒:1
の割合を基本に好みの漬けタレを作ります。
漬けタレの中にショウガやニンニク・鷹の爪(唐辛子)などを、魚の臭み取りや風味つけに入れてもいいですよ。
漬けタレの中に、約30分前後漬け込んだ後、取り出して干します。
丸干し
カタクチイワシの目刺しなどの様に、小魚を開いたりせずにそのまま干物にする方法です。
スーパーなどで売られている目刺しは、内臓が入ったままになっている干物がほとんどですが、内臓の苦みが嫌いな方は、取り除けば苦みは無くなります。
腹開き
頭を付けたまま、包丁を腹から入れて、頭を真っ二つに割って開きにする方法です。
頭を切り落としてから、腹開きにしてもいいですよ。
すずめ開き
頭を真っ二つに割って開く方法を、すずめ開きといいます。
背中から開くので、背開きとも言います。
腹開きよりも背開きの方が見た目が良く見えるので、干物では多用される捌き方です。
頭を割るのにコツと力が要りますが、慣れてしまえば腹開きよりも捌く時間が掛かりませんよ。
片そで開き
頭を片方に付けたまま、割らずに開きにする方法です。
私は、腹から包丁を入れることが多いですが、本来は背開きの一種なので、魚屋さんなどで売られている干物は背から包丁を入れています。
背開き
キスの天ぷらに代表される開き方で、背骨と中骨と取り除くので、骨を気にせずにそのまま食べることが出来ます。
干物用としては、余り用いる開き方では有りませんが、骨を全て取り除いているので、干物にした後に天ぷらにしたり、ソテーなどの方法で調理することが出来ます。
小さなお子様でも食べやすい開き方です。
手開き
主にイワシなどの身の柔らかい小魚を開く方法で、包丁を使わずに手で開いていきます。
初めて魚を捌く人にも、簡単に出来ますよ!
1匹目は上手く行かなくても、2~3匹目には上手に出来るようになりますよ!
魚を開いて、塩やミリンに付けた後は、余分な水分やミリン醤油などをキッチンペーパーでふき取った後、重ならないように並べて、風通しのいい場所で干します。
せっかく乾燥してきた魚が、夜露で濡れてしまうことも有るので、軒がある場所などに干した方がいいです。
ざるなどの上に広げて干すことも出来ますが、1,000円もしない値段で、魚干し用の網が販売されているので、蠅などの虫から干物を守ることも出来るので便利です。
風干し・天日干しするのが理想ですが、天候の関係で屋外で干すことが出来ない時は、冷蔵庫の中で干すことも出来ます。
干す時間は、天候や好みにもよりますが、一晩から丸1日位を目安に調整します。
乾燥すると、魚が干し網にくっ付いてしまうことが有るので、干している途中に半日か一晩程度経過した時に、1度、魚を動かすと干し網にくっ付かなくなります。
現在、スーパなどで売られている干物は、天日干しされたものではなく、機械で乾燥させたものがほとんどです。
干し網させあれば、味の一夜干しは簡単に作れますよ!
天日干しした アジの一夜干しは、干もの特有の日なたの味がして格別ですよ!
現在、スーパなどで売られている干物は、天日干しされたものではなく、機械で乾燥させたものがほとんどです。
腹開きしたアジを、ミリン醤油を合せて作ったタレに漬け込んで、干せば簡単にアジの味醂干しが出来ますよ!
天日干しした アジの味醂干しは、干もの特有の日なたの味がして格別ですよ!
夏から秋にかけてサビキ釣りなどで釣れる小アジは、大漁になる時が有ります。
スーパーなどでも、お手軽な値段で購入することが出来ます。
1匹づつ開きにするのは時間と手間がかかるので、丸干しにすると簡単に干物にすることが出来ます。
エラや内臓を取り除いてから干せば、苦みもなくなりますよ。
マイワシの丸干しは、スーパーや魚屋さんなどで見かける機会が多いですが、開きの一夜干しは余り目にする機会が無いので、いつも手作りしています。
塩は控えめで、半乾き程度の干し具合にすると身がプリプリで美味しいですよ!
手開きで捌けるので、初めてでも簡単ですよ!!
マイワシのミリン干しは、開きになった物が、スーパーや魚屋さんでよく売られていますが、味が濃い過ぎたり、干し過ぎで身が硬かったりすることがよく有ります。
手造りすると、自分好みの美味しい身がプリプリのミリン干しが簡単に出来ますよ!
カタクチイワシは、「目刺し」でよく販売されています。
一般的に販売されている「目刺し」は内臓を取り除いていませんが、魚臭さや苦みが苦手な方は内臓を取り除くと、スッキリとした味わいになり、青魚が苦手な方でも食べやすくなりますよ!
体長20cmくらいまでの大きさのタイは、背開きにして一夜干しにすることが出来ます。
干すことによって、身の中の水分が抜けて味が凝縮されていて、タイの味が濃く感じられて美味しいですよ!
普通のイトヨリダイは体長30~40cmくらいですが、20cm前後のサイズのものが、比較的、お手頃な値段で販売されています。
大きな物よりも、一夜干しなどの干物にするには、これくらいが丁度いいサイズです。
開きにして、濃いめの塩水に漬けてから干せば出来上がりですよ!!
小さなタチウオは切り身のままミリンに漬けて干せばいいですが、大きなタチウオは、ミリン醤油の味が染みにくく、干す時間もかかるので、2枚か3枚おろしにしたほうがいいですよ。
今回は、2枚おろしにしてから、干物にしています。
体長20cmくらいまでの大きさの小さいカレイは干物にすることが出来ます。
カレイは身が柔らかい魚なので、干して水分を抜くと、身が締まって崩れにくくなります。
味も凝縮されてうま味が増して、美味しくなりますよ!
フランス料理の材料として使われる、シタビラメですが、体長20cm前後の小型のものが、お手頃な値段でスーパーなどで販売されているので、一夜干しにしてみました。
干物にするには、余り大きな物よりも、これくらいの物の方が、乾きも早くて向いています。
小さくても、シタビラメ!! 干物にしてもとても美味しいですよ!
スーパーなどで販売されている「シロサバフグの身欠き」を開きにして「一夜干し」と「酒干し」にしてみました。
開きにした後に残った「中落ち」は出汁とりに使い、お味噌汁にすることが出来ます。
「シロサバフグの身欠き」を開きにして、ミリン醤油のタレに漬けて「ミリン干し」にしました。
加工品と違い、すぐに食べる場合は、薄味にすると、フグのうま味を感じることが出来ますよ。
残った「中落ち」は出汁とりに使い、漬けタレと合わせて、お吸い物にしました。
アンコウは大きな魚のイメージが有りますが、20cm未満のアンコウが、お手頃な値段でスーパーなどで販売されています。
ぶつ切りにして、唐揚げで食べても美味しいですが、今回は、開きにして「ミリン干し」にしてみました。
プリプリの身は、他の魚の干物では味わうことが出来ない食感ですよ!
キビナゴは煮干しよりも一回りくらい大きい位の魚なので、そのまま塩をした後、干せば丸干しになります。
内臓は取らなくてもいいですが、苦みが気になる方は一手間掛かりますが、取り除いた方がいいでしょう。
干した後は、グリルなどで焼いてもいいですが、素揚げにしても美味しいですよ!
スーパーなどで、丸干しの干物で販売されていることが多い金太郎を開き干しにしてみました。
開き干しにすると、丸干しに比べて短時間で干すことが出来ます。
開いて有るので、グリルで焼いてもいいですが、フライパンでソテーにして食べることも出来ます!!